建設業界では、採用単価が年々高騰しています。求人広告に毎月30万円以上かけても応募がわずか数件、人材紹介会社経由では1人あたり100万円を超えるケースも珍しくありません。こうした状況に頭を抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、TikTokを活用した採用活動で、採用単価を従来の3分の1に削減した建設会社の事例が出てきています。本記事では、建設会社の採用単価が高騰している理由と、TikTokで採用コストを下げられる仕組み、そして実際の成功事例を詳しく解説します。
建設会社の採用単価が高騰している3つの理由
建設業界の採用市場は、他業種と比べても特に厳しい状況が続いています。厚生労働省の調査によると、建設業の有効求人倍率は約6倍と、全産業平均の1.3倍を大きく上回っています。つまり、6つの求人に対して1人しか応募者がいない状態です。
このような状況下で、採用単価が高騰する理由を3つの観点から見ていきましょう。
求人媒体の費用対効果が低下している
従来の主流だった求人媒体への掲載ですが、費用対効果が年々低下しています。大手求人サイトの掲載料は1か月あたり20万円〜50万円が相場ですが、掲載しても応募が1〜2件程度にとどまるケースが増えています。
この背景には、求人情報の飽和があります。同じ求人サイト内に建設会社の求人が数百件も掲載されており、自社の求人が埋もれてしまうのです。また、掲載料の値上がりも続いており、5年前と比べて平均30%程度上昇しているとの調査結果もあります。
結果として、求人媒体経由の採用単価は1人あたり50万円〜80万円に達することも珍しくありません。
若手にリーチできる採用チャネルが不足
建設業界が特に必要としている20代〜30代の若手人材ですが、彼らZ世代の情報収集行動は大きく変化しています。求人サイトよりもSNSで情報を得る傾向が強く、企業のリアルな雰囲気や働く人の姿をSNSで確認してから応募を検討します。
ある調査では、Z世代の約70%が「企業のSNSアカウントをチェックしてから応募を決める」と回答しています。しかし、多くの建設会社はSNSでの情報発信に取り組んでおらず、若手にリーチできる採用チャネルが不足している状況です。
従来の求人媒体だけでは、若手人材の目に触れる機会が少なく、応募につながりにくいのが実情です。
人材紹介会社への依存で単価が上昇
求人媒体で成果が出ない結果、人材紹介会社に頼る建設会社が増えています。人材紹介会社の成功報酬は、採用者の年収の30%〜35%が相場です。年収400万円の人材を採用すれば、紹介手数料だけで120万円〜140万円がかかります。
さらに、人材紹介会社経由で採用した人材は、企業への理解が浅いまま入社するケースも多く、早期離職のリスクも高まります。実際、人材紹介経由の採用者のうち約30%が1年以内に離職するというデータもあります。
離職が発生すれば、また新たに100万円以上の採用コストがかかる悪循環に陥ります。
【ポイント】
- 建設業の有効求人倍率は約6倍と深刻な人手不足
- 求人媒体の掲載料は高騰し、費用対効果が低下
- 若手が情報収集するSNSでの発信が不足
- 人材紹介経由の採用単価は100万円超も珍しくない
TikTokで採用単価を下げられる仕組み
TikTokを活用すると、なぜ採用単価を大幅に下げることができるのでしょうか。その仕組みを3つの観点から解説します。
無料でリーチできるオーガニック流入
TikTokの最大の特徴は、フォロワーが少なくても多くの人に動画が届く「おすすめ機能」です。他のSNSと異なり、投稿した動画は既存のフォロワーだけでなく、興味を持ちそうなユーザーにも自動的に配信されます。
実際、フォロワー数100人未満のアカウントでも、1つの動画が1万回以上再生されることは珍しくありません。広告費を一切かけずに、潜在的な求職者にリーチできるのです。
求人媒体への掲載が月20万円〜50万円かかることを考えると、TikTokのアカウント運用にかかる時間コストのみで採用活動ができることは大きなメリットです。動画制作に慣れてくれば、1本あたり30分〜1時間程度で投稿できるようになります。
若手求職者へのダイレクトリーチ
TikTokのユーザー層は、建設業界が採用したい20代〜30代が中心です。国内のTikTokユーザーのうち、約60%が10代〜30代であり、彼らは日常的にTikTokで情報収集をしています。
特に、仕事選びにおいても「リアルな職場の雰囲気」や「実際に働く人の声」を重視する傾向があります。TikTokの短尺動画は、こうした情報をわかりやすく伝えるのに最適な形式です。
現場の作業風景、先輩社員のインタビュー、1日の仕事の流れなど、求人票では伝えきれない情報を動画で発信することで、若手求職者の興味を引くことができます。求人媒体では接点を持てなかった層にも、直接アプローチできるのです。
応募前の企業理解が深まり採用後の定着率向上
TikTokで継続的に情報発信をすることで、求職者は応募前に企業の雰囲気や仕事内容を深く理解できます。これにより、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチが減少します。
ある建設会社では、TikTok経由で採用した社員の1年後定着率が90%を超えています。一方、求人媒体経由では70%程度、人材紹介経由では60%台にとどまっています。
定着率が向上すれば、再度採用活動を行うコストも削減できます。採用単価を下げる上で、定着率向上は非常に重要な要素です。
【ポイント】
- TikTokは広告費ゼロでも多くの人にリーチできる
- 若手求職者が日常的に利用するプラットフォーム
- 動画で企業理解が深まり、入社後の定着率が向上
- 定着率向上により、再採用コストも削減できる
実際の事例|採用単価を1/3に削減した建設会社の取り組み
ここでは、TikTok活用により採用単価を大幅に削減した建設会社の実例をご紹介します。具体的な数字とともに、どのような取り組みをしたのかを見ていきましょう。
導入前の課題と採用単価
神奈川県で総合建設業を営むA社(従業員数50名)は、慢性的な人手不足に悩んでいました。導入前の採用手法と課題は以下の通りです。
- 大手求人サイトに月30万円で掲載(年間360万円)
- 応募は年間10件程度、面接に進むのは5〜6件
- 最終的に採用できるのは年間2〜3名
- 採用単価は1人あたり120万円〜180万円
- 入社1年以内の離職率は40%
特に20代の応募が少なく、平均年齢の高齢化も課題でした。人材紹介会社も利用していましたが、さらにコストがかさむため、費用対効果の高い採用手法を模索していたのです。
TikTok運用の具体的施策
A社は2023年4月からTikTokアカウントの運用を開始しました。具体的な施策内容は以下の通りです。
投稿内容の工夫
- 現場作業のビフォーアフター動画(完成までの過程を短時間で)
- 若手社員の1日密着(朝の準備から帰宅まで)
- 先輩社員インタビュー(未経験入社のリアルな体験談)
- 資格取得支援制度の紹介(会社のサポート体制)
- 社内イベントの様子(バーベキューや忘年会など)
運用体制
- 週3回の投稿を目標(月12〜15本程度)
- 撮影は現場監督と若手社員が協力
- 編集はスマートフォンアプリで30分程度
- 求人情報は動画の概要欄やコメント返信で案内
失敗から学んだポイント
当初は求人情報ばかりを投稿していましたが、再生数が伸びませんでした。「採用したい」という企業目線ではなく、「この会社で働いてみたい」と思わせる求職者目線のコンテンツに変更したところ、再生数が大幅に向上しました。
成果と採用単価の変化
TikTok運用開始から1年間の成果は以下の通りです。
数字で見る改善効果
- フォロワー数:1,200人(1年で)
- 累計再生回数:45万回以上
- TikTok経由の応募:年間18件
- 採用人数:年間5名(前年は2名)
- 採用単価:1人あたり約40万円(運用時間コスト含む)
- 従来比で採用単価が約1/3に削減
- 1年後定着率:100%(5名全員が在籍中)
コスト内訳の比較
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 求人媒体費 | 360万円/年 | 120万円/年 |
| 運用時間コスト | – | 80万円/年(概算) |
| 採用人数 | 2〜3名 | 5名 |
| 1人あたり採用単価 | 120万円〜180万円 | 約40万円 |
A社の採用担当者は「TikTokを始めてから、応募者の質が明らかに変わりました。企業のことを理解した上で応募してくれるので、面接での話も深まりますし、入社後のミスマッチもありません」と語っています。
【よくある失敗パターン】
- 更新頻度が低い(月1〜2回程度)と効果が出にくい
- 求人情報だけを載せても再生されない
- 作り込みすぎた動画よりも、リアルな現場の様子の方が反応が良い
- プロフィール欄に採用ページへのリンクがないと応募につながらない
まとめ
建設会社の採用単価を下げる方法として、TikTok活用は非常に有効な手段です。本記事のポイントを改めて整理します。
- 採用単価高騰の原因:求人媒体の費用対効果低下、若手へのリーチ不足、人材紹介会社への依存
- TikTokの強み:広告費ゼロでのリーチ、若手求職者へのダイレクトアプローチ、定着率向上によるコスト削減
- 成功の秘訣:週3回程度の継続投稿、求職者目線のコンテンツ、リアルな職場の様子を発信
TikTokでの採用活動は、一時的な施策ではなく、継続的な採用力強化につながる取り組みです。ただし、効果的な運用には一定のノウハウが必要ですし、動画制作に不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
自社に合った方法でTikTok採用を始めてみたい、具体的な運用方法を相談したいという方は、まずは専門家に相談することをおすすめします。採用コスト削減の第一歩を、今日から踏み出してみませんか。
