「求人広告を出しても応募が来ない」――これは多くの解体業者が直面している深刻な課題です。厚生労働省の調査によると、建設業の有効求人倍率は5.47倍(2023年度)と全職種平均の1.31倍を大きく上回り、特に解体工を含む現場作業員の採用難は年々深刻化しています。
従来の求人サイトや紙媒体では、そもそも若手世代の目に触れる機会すら激減しています。一方で、Z世代の90%以上が日常的に利用するTikTokを活用し、20代の応募を大幅に増やした解体業者が実際に存在します。
本記事では、TikTok採用で成功した解体業者3社の具体的な事例と、若手が集まる会社に共通する発信内容、そして失敗しないための注意点を解説します。
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解体業者がTikTok採用で成功した3つの実例
事例1:20代応募が3倍に増加した中堅解体業者
企業概要
千葉県の従業員30名規模の解体業者A社。平均年齢48歳で若手採用が5年間ゼロという状況でした。
実施した施策
- 週3回、朝礼風景や重機操作の様子を15秒動画で投稿
- 社員の素顔がわかる「〇〇さんの1日」シリーズを月2回投稿
- 給与・休日・資格取得支援制度を具体的な数字で明示
成果
- 3ヶ月で20代からの問い合わせが月2件→6件に増加
- フォロワー数1,200人到達時点で未経験者2名の採用に成功
- 求人広告費を月15万円→5万円に削減
A社の成功要因は、「現場のリアルな雰囲気」を徹底的に見せたことです。編集で過度に演出せず、現場の騒音や汚れも含めてありのままを発信。「思ってたより楽しそう」「先輩が優しそう」というコメントが多数寄せられました。
事例2:未経験者の応募が月10件超えた老舗企業
企業概要
大阪府の創業50年、従業員15名の解体業者B社。高齢化により技術継承が課題でした。
実施した施策
- ビフォーアフターの解体映像を迫力ある編集で投稿
- 「この建物、どうやって壊すの?」クイズ形式の投稿でエンゲージメント向上
- ベテラン職人の技術解説動画で専門性をアピール
成果
- 6ヶ月でフォロワー8,000人突破
- 未経験者からの応募が月平均10件以上に増加
- 動画を見て「ここで働きたい」と県外からの応募も発生
B社の特徴は、解体工事を「エンターテインメント」として見せる編集力でした。単なる作業記録ではなく、視聴者が「次が見たい」と思う構成を意識。結果、動画の平均再生時間が12秒→23秒に伸び、アルゴリズムの評価も向上しました。
事例3:女性解体工の採用に成功した地方企業
企業概要
福岡県の従業員8名の小規模解体業者C社。女性活躍推進を掲げるも応募ゼロが続いていました。
実施した施策
- 唯一の女性社員(事務職)の協力で「女性目線の解体業界」を発信
- 女性用更衣室・トイレ完備などの職場環境を動画で紹介
- 「力仕事ばかりじゃない」実際の業務内容を細かく説明
成果
- 4ヶ月で20代女性2名から応募
- うち1名を未経験者として採用、現在も勤務継続中
- 「女性でも働ける解体業者」として地域メディアに取り上げられる
C社の成功は、明確なターゲット設定にあります。「女性も働ける」という漠然としたメッセージではなく、実際の女性社員の声、具体的な職場環境、体力面での配慮などを丁寧に発信。「自分も働けそう」と思わせる情報設計が応募につながりました。
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若手が集まる解体業者の共通する3つの発信内容
現場のリアルな作業風景を包み隠さず公開
成功事例に共通するのは、「綺麗に編集されたPR動画」ではなく「現場のリアルな日常」を発信している点です。
効果的な見せ方
- 重機操作の臨場感ある映像(運転席からの視点が人気)
- 解体前→解体中→更地になるまでの定点観測
- 現場の会話・笑い声などの生音を残す
- 粉塵・騒音など「大変な面」も隠さない
若手求職者は過度に演出された情報を「嘘くさい」と感じます。むしろ大変な面も含めて見せることで「この会社は正直だ」という信頼が生まれ、入社後のミスマッチも防げます。
実際、A社では「思ってたより大変そうだけど、それでもやってみたい」という応募者が増え、入社3ヶ月での離職率が従来の50%→10%に改善しました。
先輩社員の素顔・仕事のやりがいを発信
「どんな人が働いているか」は、若手が最も知りたい情報の一つです。
人間性が伝わる投稿例
- 「〇〇さんの1日」密着シリーズ(起床→現場→帰宅まで)
- 昼休みの雑談風景や社員同士のやり取り
- 「なぜこの仕事を選んだか」インタビュー動画
- 失敗談・苦労話を笑いに変える投稿
B社では、60代のベテラン職人が若手に技術を教える動画が特に人気でした。「厳しいけど愛情がある指導」「職人としての誇り」が伝わり、「こんな先輩の下で学びたい」というコメントが多数寄せられています。
注意点として、やらせ感のある演技は逆効果です。台本なしの自然な会話、素の表情が映っている動画の方がエンゲージメントが高い傾向にあります。
給与・福利厚生を具体的な数字で明示
「給与」「休日」「待遇」を曖昧にせず、具体的な数字で示すことが信頼構築の鍵です。
効果的な情報開示例
- 「未経験1年目の月収:23万円」など具体的な金額
- 「土日祝休み・年間休日110日」など明確な数字
- 資格取得支援制度の金額(「重機免許取得費用10万円全額負担」等)
- 賞与実績・昇給制度の透明性
C社では、「1年目:月給23万円→3年目:月給32万円」という実例を動画で公開。「ちゃんと給料が上がる」という安心感が応募を後押ししました。
逆に「やる気次第で稼げます」「アットホームな職場」といった抽象的な表現は、若手には全く響きません。具体性と透明性が信頼を生みます。
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TikTok採用を始める前に知っておくべき注意点
炎上リスクと安全配慮の重要性
TikTokでの情報発信には、炎上リスクが常に伴います。特に建設・解体業界では要注意です。
絶対NGな投稿例
- ヘルメット未着用での作業映像
- 安全帯なしでの高所作業
- 近隣への配慮を欠いた騒音・粉塵の映像
- 飲酒後の投稿や不適切な発言
実際に他県の解体業者で、「安全対策を怠った作業風景」が炎上し、取引先からの信用を失った事例があります。
リスク回避のポイント
- 撮影前に安全確認を徹底(ヘルメット・安全帯等)
- 近隣住民への配慮が伝わる描写を入れる
- 投稿前に第三者(できれば安全管理者)がチェック
- コメント欄での不適切な発言に即座に対応
「面白い動画」を優先するあまり安全を軽視すると、会社の信用を大きく損ねます。
継続更新できる体制づくりが必須
TikTok採用で失敗する最大の原因は「3ヶ月で投稿が止まること」です。
よくある挫折パターン
- 社長や担当者1人に負担が集中→多忙で続かない
- ネタ切れで投稿内容に困る
- 再生数が伸びず「意味ない」と判断して中断
継続するための体制例
- 撮影担当・編集担当を分ける(1人10分程度の負担に分散)
- 「毎週月曜は朝礼風景」など曜日別テーマを決める
- 3ヶ月分の投稿ネタをリスト化しておく
- 週1回15分のミーティングで振り返り・改善
A社では、若手社員2名に「撮影係」を任命し、編集は外部ツール(CapCut等)で5分程度で完結。社長は月1回の方向性確認のみという分担で、1年以上継続できています。
「すぐに結果が出る」という期待は禁物です。最低3〜6ヶ月の継続が必要と認識して始めることが重要です。
効果測定と改善サイクルの回し方
「投稿しているだけ」では成果は出ません。数値を見ながら改善する姿勢が必須です。
最低限チェックすべき指標
- 再生回数(1投稿平均500回以上が目安)
- 平均視聴時間(15秒動画なら10秒以上が理想)
- プロフィールへの遷移率(興味を持たれているか)
- 問い合わせ件数(月1件以上は欲しい)
改善サイクルの例
- 毎週:どの動画の反応が良かったか振り返り
- 毎月:上位3動画の共通点を分析
- 3ヶ月ごと:投稿内容・頻度の見直し
B社では、「重機操作の動画」の反応が特に良いことに気づき、週1回必ず重機系コンテンツを投稿するルールに変更。結果、平均再生回数が1.5倍に向上しました。
「なんとなく投稿」ではなく、「仮説→検証→改善」のサイクルを回すことで、効果は確実に上がります。
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まとめ
解体業者のTikTok採用成功事例から見えてきた共通点は以下の3つです。
- 現場のリアルを包み隠さず発信:綺麗に編集するより、大変な面も含めた日常を見せることで信頼を獲得
- 先輩社員の人間性・具体的な待遇を明示:「誰と働くか」「いくらもらえるか」の透明性が応募を後押し
- 炎上リスク管理と継続体制の構築:安全配慮を怠らず、無理なく続けられる仕組みづくりが成功の鍵
TikTok採用は、従来の求人方法では届かなかった若手層にアプローチできる有効な手段です。ただし「バズれば採用できる」という安易な考えは禁物。地道な情報発信と改善の積み重ねが、確実な成果につながります。
「自社だけで運用するのは難しい」「効率的に成果を出したい」という場合は、TikTok運用代行の専門家に相談するのも一つの選択肢です。株式会社バズアイでは、建設業・解体業の採用支援実績が多数あり、炎上リスクを抑えながら効果的な運用をサポートしています。
