「TikTokで採用がうまくいっているらしい」「若手にアプローチできるって聞いた」――そんな話を耳にして、自社でもTikTokを始めてみたいと考えている製造業の経営者・採用担当者の方は多いのではないでしょうか。
しかし、いざ始めようとすると「アカウントの作り方がわからない」「工場で何を撮ればいいの?」「投稿の設定方法は?」と疑問だらけで、最初の一歩が踏み出せないケースが少なくありません。
本記事では、製造業・工場がTikTokを始める際に知っておくべき基礎知識から、アカウント開設、最初の投稿までの具体的な手順を、初心者でも迷わず実践できるよう丁寧に解説します。
製造業がTikTokを始める前の準備
TikTokのアカウントを開設する前に、まず押さえておくべき準備事項があります。この段階での判断ミスが後々の運用に影響するため、しっかり確認しておきましょう。
ビジネスアカウントと個人アカウントの違い
TikTokには「個人アカウント」と「ビジネスアカウント」の2種類があります。製造業で採用目的やブランディング目的で運用するなら、ビジネスアカウント一択です。
ビジネスアカウントのメリット
- 投稿ごとの視聴データ(再生数・平均視聴時間・視聴者の属性など)が確認できる
- プロフィールにウェブサイトURLや問い合わせボタンを設置可能
- 商用利用が明確に許可されている
個人アカウントとの違い
- 個人アカウントでは詳細な分析データが見られない
- 外部リンクの設置に制限がある
- 商用利用の規約が曖昧
ビジネスアカウントへの切り替えは無料で、後からでも変更可能です。ただし、最初からビジネスアカウントで登録しておけば、初回投稿から分析データを取得できるため、初期設定時に切り替えておくことを強く推奨します。
撮影に必要な機材と予算
「TikTokを始めるには高価な撮影機材が必要では?」と心配される方もいますが、結論から言えばスマートフォン1台あれば十分です。
最低限必要なもの
- スマートフォン(iPhone・Android問わず、ここ3年以内の機種なら問題なし)
- 安定した撮影のためのスマホスタンドまたは三脚(1,000〜3,000円程度)
あると便利なもの
- クリップ式LEDライト(暗い工場内の撮影用、2,000円程度)
- ピンマイク(機械音が大きい現場での音声収録用、3,000円程度)
- 予備のモバイルバッテリー(撮影本数が多い日用)
合計しても1万円以内で必要な機材が揃います。「まずは試してみたい」という段階であれば、手持ちのスマホだけでスタートして問題ありません。
注意点
- 撮影時は必ず横向き(ランドスケープ)ではなく縦向き(ポートレート)で撮影すること
- TikTokは縦型動画が基本フォーマットのため、横向きで撮ると画面の大半が黒い余白になってしまう
- スマホの容量不足に注意(動画は容量を圧迫するため、定期的にバックアップを取ること)
社内ルール・撮影許可の取り方
製造現場での撮影には、事前に社内ルールを整備し、関係者から許可を得ておく必要があります。トラブルを未然に防ぐため、以下の点を確認しましょう。
撮影前に確認すべき事項
1. 経営陣・管理職への説明と承認
- TikTok運用の目的(採用強化、認知度向上など)を明確に伝える
- どのエリア・どの工程を撮影するか具体的に提示
- 投稿前に上長の確認を入れるフローを提案
2. 従業員への説明と同意取得
- 従業員が映り込む可能性がある場合、事前に目的を説明し同意を得る
- 顔出しNGの従業員には、後ろ姿のみ・モザイク処理などの配慮を約束
- 「いつ・どこで撮影するか」を事前に周知し、映りたくない人が避けられるようにする
3. 機密情報・顧客情報の保護
- 製品の詳細設計図、取引先名、顧客情報などが映り込まないよう注意
- 撮影禁止エリア(機密性の高い工程、試作品エリアなど)を明確化
- 投稿前に複数名でチェックする体制を整備
4. 安全管理上の配慮
- 撮影中は作業の安全を最優先し、無理な撮影はしない
- 撮影者も安全装備(ヘルメット、安全靴など)を着用
- 稼働中の機械に近づきすぎないなど、撮影ルールを設定
まずは小規模なテスト運用からスタートし、問題がないことを確認してから本格展開するのが安全です。最初は「会社紹介」「職場の雰囲気」など、機密性の低いコンテンツから始め、徐々に撮影範囲を広げていくとスムーズです。
TikTokアカウント開設の手順
ここからは、実際にTikTokアカウントを開設し、ビジネスアカウントに切り替えるまでの具体的な手順を、画面を見ながら進められるよう詳しく解説します。
アプリのダウンロードから登録まで
Step1 アプリのダウンロード
- iPhoneの場合 App Storeで「TikTok」と検索し、「入手」をタップ
- Androidの場合 Google Playで「TikTok」と検索し、「インストール」をタップ
- ダウンロード完了後、アプリを開く
Step2 アカウント登録方法の選択
アプリを開くと、複数の登録方法が表示されます。製造業での運用では、「メールアドレスで登録」または「電話番号で登録」を推奨します。
- 電話番号で登録 社用携帯の番号を使用(個人の携帯は避ける)
- メールアドレスで登録 会社のメールアドレスを使用(採用担当者の共有アドレスなど)
推奨しない登録方法
- 個人のSNSアカウント(Facebook、Googleなど)と連携しての登録
- 理由 担当者が変わった際に引き継ぎが複雑になる、個人アカウントと混同するリスクがある
Step3 生年月日の入力
- TikTokは13歳以上の利用が前提のため、生年月日の入力が求められます
- ビジネスアカウントでも入力は必須ですが、公開されることはありません
- 担当者の生年月日で問題ありません
Step4 ユーザー名の設定
初回登録時に仮のユーザー名が自動生成されますが、後から変更可能です。この段階では仮の名前のままで次に進んで構いません(プロフィール設定時に変更します)。
注意点
- 登録に使用したメールアドレス・電話番号・パスワードは必ず記録し、社内で共有しておくこと
- パスワードは8文字以上で、英数字と記号を組み合わせた推測されにくいものに設定すること
プロフィール設定のポイント
アカウント登録が完了したら、次はプロフィールを設定します。プロフィールは「会社の顔」となる重要な部分です。採用につながるよう、以下のポイントを押さえましょう。
ユーザー名(ID)の決め方
- 形式 「@会社名_業種」または「@会社名_採用」がおすすめ
- 例 @yamada_seizou、@tanaka_factory、@suzuki_recruit
- 避けるべき 数字の羅列、意味不明な文字列、長すぎる名前
アカウント名(表示名)の決め方
- 形式 「会社名|業種・地域」
- 例 「山田製作所|愛知の金属加工会社」「田中工業|大阪・機械部品メーカー」
- ポイント 何をしている会社かが一目でわかるようにする
プロフィール文の書き方
150文字以内で、以下の要素を盛り込みます。
テンプレート例
〇〇県で△△を製造している××です。
創業〇〇年、従業員□□名。
このアカウントでは工場の日常や製品ができるまでを発信中📹
【求人情報】
・職種 ◯◯
・勤務地 ◯◯
・待遇 ◯◯
採用情報→(ウェブサイトURL)
プロフィール画像の選び方
- 会社のロゴまたは工場の外観写真
- 顔写真(社長や採用担当者)も効果的だが、担当者変更時に変えにくい点に注意
- 画像サイズ 正方形(1対1)、推奨サイズ200×200ピクセル以上
ウェブサイトURLの設置
ビジネスアカウントに切り替え後、プロフィールに採用ページや会社HPのURLを設置できます。求職者を自社サイトへ誘導する重要な導線となるため、必ず設定しましょう。
よくある間違い
- プロフィール文に「TikTok初心者です」「始めたばかり」などと書く → 信頼性が下がるため避ける
- 絵文字の多用 → 1〜2個程度に抑え、読みやすさを優先
- 抽象的な表現のみで具体性がない → 「ものづくり」だけでなく「金属加工」など具体的な業務内容を明記
ビジネスアカウントへの切り替え方法
通常のアカウント登録後、ビジネスアカウントへの切り替えを行います。手順は以下の通りです。
Step1 設定画面を開く
- 画面右下の「プロフィール」アイコンをタップ
- 画面右上の「三本線(メニュー)」をタップ
- 「設定とプライバシー」を選択
Step2 アカウントタイプの変更
- 「アカウント」をタップ
- 「ビジネスアカウントに切り替える」を選択
- 業種カテゴリの選択画面が表示されるので、「ビジネスサービス」→「人材サービス」または「製造業」を選択
Step3 必要情報の入力
- 会社名、ウェブサイトURL、業種などの入力を求められた場合は正確に入力
- 利用規約を確認し、「同意する」をタップ
Step4 切り替え完了の確認
- プロフィール画面に戻り、「インサイト」ボタンが表示されていれば切り替え成功
- 「インサイト」をタップすると、フォロワー数や動画の視聴データが確認できる画面が開きます
ビジネスアカウントの主な機能
1. インサイト(分析機能)
- 過去7日間・28日間の動画視聴回数
- プロフィール閲覧数
- フォロワーの年齢・性別・地域などの属性データ
- 動画ごとの詳細データ(平均視聴時間、視聴完了率など)
2. ウェブサイトリンクの追加
- プロフィール編集画面で「ウェブサイト」欄にURLを入力可能
- 採用ページや会社HPへ直接誘導できる
3. 問い合わせボタンの設置
- 「お問い合わせ」ボタンをプロフィールに表示可能
- メールアドレスや電話番号を設定しておけば、視聴者が直接コンタクト可能
注意点
- ビジネスアカウントに切り替えると、一部の音楽(商用利用不可の楽曲)が使えなくなります
- ただし、TikTok公式が提供する商用利用可能な音楽ライブラリは豊富にあるため、実務上の問題はほぼありません
- 個人アカウントに戻すことも可能ですが、その場合は蓄積された分析データが失われるため注意
最初の投稿を成功させる3つのコツ
アカウント開設が完了したら、いよいよ最初の動画投稿です。「何を撮ればいいのか」「どう設定すればいいのか」といった疑問に答えながら、初回投稿を成功させるコツを解説します。
製造現場で撮るべき動画ネタ
製造業・工場でTikTokを始める際、最も多い質問が「何を撮影すればいいのか?」です。以下に、初心者でも撮影しやすく、かつ視聴者の興味を引きやすい動画ネタを5つ紹介します。
1. 製品ができるまでの工程紹介
- 内容 原材料から完成品になるまでの過程をダイジェストで紹介
- 撮影のコツ 各工程を5〜10秒ずつ撮影し、つなぎ合わせる(総尺30〜60秒)
- なぜ人気? 「こうやって作られているんだ!」という発見があり、視聴完了率が高い
2. 工場内のビフォーアフター
- 内容 整理整頓前後、改善前後など、変化がわかる動画
- 撮影のコツ 同じアングルで「Before」→「After」を撮影し並べる
- なぜ人気? 視覚的なインパクトがあり、「いいね」がつきやすい
3. 珍しい機械・工具の紹介
- 内容 専門的な機械の動きや、一般の人が見たことのない工具の使い方
- 撮影のコツ 機械の動きをスローモーションで撮影すると迫力が出る
- なぜ人気? 「こんな機械があるんだ」という驚きがコメントを生む
4. 従業員インタビュー(仕事の魅力・1日の流れ)
- 内容 「この仕事の好きなところは?」「1日の流れは?」などを質問形式で紹介
- 撮影のコツ 質問は字幕で表示し、回答を音声で収録(30秒程度に編集)
- なぜ人気? リアルな職場の雰囲気が伝わり、求職者の興味を引く
5. 職場の「あるある」ネタ
- 内容 製造現場ならではの日常やクスッと笑える瞬間
- 撮影のコツ 堅苦しくならないよう、自然体で撮影
- なぜ人気? 親近感が湧きやすく、「この会社楽しそう」という印象を与える
撮影時の共通ポイント
- 長さは15〜30秒を基本とする(最長でも60秒以内)
- 最初の3秒で興味を引く映像を入れる(機械の動き、完成品のアップなど)
- 音は後から音楽を追加するため、撮影時は無音でもOK
避けるべき内容
- 機密情報が映り込む動画
- 安全装備なしで作業している場面
- 従業員の顔がはっきり映っている動画(同意を得ていない場合)
投稿時の基本設定とハッシュタグ
動画が撮影できたら、次は投稿設定です。適切な設定とハッシュタグの選定が、動画の届く範囲を大きく左右します。
投稿の基本手順
1. 動画のアップロード
- 画面下部中央の「+」ボタンをタップ
- 「アップロード」を選択し、撮影した動画を選ぶ
- 必要に応じてトリミング(不要な部分のカット)を行う
2. 音楽の追加(任意)
- 「音源を追加」をタップ
- 「商用利用可」のフィルターをかけて音楽を検索
- 動画の雰囲気に合った音楽を選ぶ(選ばなくてもOK)
3. キャプション(説明文)の入力
- 動画の内容を簡潔に説明(例 「金属加工の様子です」「製品ができるまで」)
- 質問を投げかける形にすると、コメントがつきやすい(例 「この機械、何をしているでしょう?」)
- 文字数は150字以内を目安に
4. ハッシュタグの選定
- ハッシュタグは3〜5個程度が適量
- 必ず含めるべきタグ #製造業 #工場 #ものづくり
- 業種に応じて追加 #金属加工 #機械加工 #プレス加工 など
- 地域タグも効果的 #愛知 #大阪 #東京 など
ハッシュタグの選び方のコツ
- 大きすぎるタグ(#仕事 #採用 など)は競合が多すぎて埋もれやすい
- 中規模のタグ(投稿数が10万〜100万件程度)を狙う
- 独自タグ(会社名など)も1つ入れておくと、後でまとめて確認しやすい
初回投稿のテンプレート例
キャプション
当社の主力製品ができるまでをご紹介!
こんな工程を経て作られています🔧
気になることがあれば、コメントで教えてください😊
ハッシュタグ
#製造業 #工場見学 #金属加工 #愛知 #採用情報
5. 公開範囲とその他の設定
- 「公開範囲」は基本的に「全員」でOK
- 「コメントの許可」はオンにしておく(視聴者とのコミュニケーションのため)
- 「デュエット・ステッチを許可」は初回はオフでも問題なし
6. 投稿のタイミング
- 最初は時間帯をあまり気にせず投稿してOK
- 数本投稿後、インサイトで「視聴者が最もアクティブな時間帯」を確認し、以降はその時間帯に投稿
よくある間違い
- ハッシュタグを10個以上つける → 逆にスパムと判定されるリスクがあるため、3〜5個に絞る
- 関係のないトレンドタグをつける → 動画内容と無関係なタグは視聴者の不信感を招く
- キャプションが長すぎる → 動画は視覚で見せるもの。説明文は簡潔に
よくある失敗パターンと対策
最後に、製造業がTikTokを始める際によくある失敗パターンと、その対策を紹介します。事前に知っておくことで、同じ失敗を避けられます。
失敗パターン1 完璧を求めすぎて投稿できない
- 症状 「もっと良い動画を撮ってから」と思い、いつまでも投稿しない
- 原因 最初から高クオリティを目指しすぎている
- 対策 最初の10本は「練習」と割り切り、まず投稿してみる。TikTokのアルゴリズムは初期の投稿数も評価するため、早めに投稿を始める方が有利
失敗パターン2 いきなりバズを狙ってしまう
- 症状 「バズる動画を作ろう」と意気込み、奇抜な企画や過度な演出を試みる
- 原因 他社の成功事例を見て、同じことをすればバズると誤解している
- 対策 まずは自社の日常や製品を淡々と紹介する「記録」からスタート。バズは結果であり、狙って生まれるものではない
失敗パターン3 社内の理解が得られず継続できない
- 症状 数本投稿したが上司や同僚の反応が薄く、モチベーションが続かない
- 原因 社内に運用の目的や期待値が共有されていない
- 対策 運用開始前に、「最初の3ヶ月は認知フェーズ」「すぐに採用につながるわけではない」と社内で合意形成しておく。週1回の簡単な報告会を設けるのも効果的
まとめ
製造業・工場がTikTokを始めることは、決して難しいことではありません。スマートフォン1台と、社内の理解・協力があれば、今日からでもスタートできます。
大切なのは、最初から完璧を目指さず、まず1本目を投稿してみることです。投稿を重ねながら、視聴者の反応を見て改善していく姿勢が、長期的な成功につながります。
TikTokは若年層へのアプローチに非常に有効なツールであり、採用難が続く製造業にとって、大きな可能性を秘めています。本記事で紹介した手順に沿って、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
運用に不安がある場合や、より戦略的に活用したい場合は、TikTok運用代行の専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。
