採用難が続く中、TikTokを活用した採用活動に注目が集まっています。しかし、いざ始めようとすると「自社で運用すべきか、外注すべきか」という判断に迷う企業は少なくありません。
この記事では、TikTok採用における自社運用と外注それぞれの費用相場、メリット・デメリット、そして自社に合った選択をするための判断基準を解説します。実際の運用支援を行う中で見えてきた、成功企業と失敗企業の違いについてもお伝えします。
自社運用と外注の費用比較
TikTok採用を始める際、最も気になるのが費用面です。ここでは自社運用と外注それぞれにかかる実際のコストを比較します。
自社運用にかかる実際のコスト
自社運用の場合、表面的には「無料でできる」と考えがちですが、実際には以下のコストが発生します。
人件費(月額換算)
- 撮影・編集担当者:月20-30時間(時給2,000円として4-6万円)
- 企画・分析担当者:月10-15時間(時給2,500円として2.5-3.75万円)
- 合計:月6.5-9.75万円
初期機材費
- スマートフォン(高性能カメラ搭載):5-10万円
- 照明機材:1-3万円
- マイク:1-2万円
- 三脚・スタビライザー:1-2万円
- 合計:8-17万円
ソフトウェア費
- 編集アプリ(有料版):月500-2,000円
- 分析ツール:月3,000-1万円
実質的な月額コストは7-12万円程度となり、初期投資として8-17万円が必要です。ただし、これは担当者が他の業務と兼務できる前提での試算です。
外注した場合の料金相場
運用代行サービスの料金体系は、提供内容により大きく異なります。
基本的な運用代行(月額)
- 動画制作本数:月4-8本
- 費用相場:月15-30万円
- 含まれる内容:企画、撮影、編集、投稿、分析レポート
フルサポート型(月額)
- 動画制作本数:月8-16本
- 費用相場:月30-50万円
- 含まれる内容:上記に加え、コンセプト設計、ハッシュタグ戦略、広告運用サポート
初期費用
- アカウント設計・戦略立案:10-30万円
- プロフィール最適化:3-5万円
一見すると外注の方が高額に見えますが、専門性の高い動画制作とデータに基づいた運用が含まれる点を考慮する必要があります。
隠れコストと見落としがちな費用
両者に共通して発生する「見えにくいコスト」があります。
自社運用での隠れコスト
- 学習時間:トレンド把握やアルゴリズム研究に月10-20時間
- 失敗による機会損失:効果が出るまでの数ヶ月間
- 担当者の本来業務への影響:他業務の遅延や残業増加
- 離職リスク:担当者退職時のノウハウ喪失
外注での隠れコスト
- コミュニケーションコスト:打ち合わせや素材提供に月5-10時間
- 撮影協力:現場撮影時の社員協力(月2-4時間)
- 社内調整:動画内容の承認プロセス
特に自社運用では「効果が出ない期間の機会損失」が大きなコストとなります。採用市場では、その数ヶ月の遅れが競合他社との差を生む可能性があります。
自社運用のメリット・デメリット
自社運用を選択する前に、自社に適しているかを判断することが重要です。
自社運用が向いている企業の特徴
以下の条件を満たす企業は、自社運用でも成果を出しやすい傾向があります。
リソース面
- 動画制作に興味がある若手社員がいる
- 撮影・編集に月30時間以上割ける体制がある
- 失敗を許容できる企業文化がある
スキル面
- SNSマーケティングの基礎知識を持つ社員がいる
- データ分析ができる人材がいる
- トレンドへの感度が高い
体制面
- 経営層が長期的視点で支援する姿勢がある
- 現場社員の協力を得やすい環境がある
- 試行錯誤する時間的余裕がある
逆に言えば、これらの条件が揃っていない場合、自社運用で成果を出すのは困難です。
よくある失敗パターンと対策
自社運用でつまずく企業には共通したパターンがあります。
失敗パターン1:担当者任せで放置
「若手に任せれば大丈夫」と丸投げし、サポート体制がない。結果、担当者が孤立し、継続できなくなります。
対策:週1回の進捗確認、月1回の効果測定ミーティングを設定。経営層も関心を持ち続けることが大切です。
失敗パターン2:クオリティへのこだわりすぎ
「完璧な動画」を目指して1本に時間をかけすぎ、投稿頻度が落ちる。TikTokでは量と継続性も重要です。
対策:「70点の動画を週2本」を目標に。完璧を求めず、反応を見ながら改善する姿勢が大切です。
失敗パターン3:分析をしない
投稿して終わり。どの動画が効果的だったか、なぜ伸びなかったかを分析しません。
対策:最低でも「視聴維持率」「プロフィール閲覧率」「エンゲージメント率」の3指標を毎回チェックしましょう。
これらの失敗は、外注であれば専門家のノウハウでカバーできる部分です。
成功に必要な社内体制
自社運用で成果を出している企業は、以下の体制を整えています。
最低限必要な役割分担
- 企画担当:トレンド把握、ネタ出し(週5時間)
- 撮影・編集担当:動画制作(週10-15時間)
- 分析担当:データ確認、改善提案(週3時間)
社内連携の仕組み
- 現場社員の出演協力:月2-4時間程度
- 承認フローの簡素化:2営業日以内に判断
- 定期的な情報共有:月次レポートの作成
「誰が何を担当するか」が明確でない状態での自社運用は、高確率で頓挫します。
外注のメリット・デメリット
外注を検討する際は、単なる「丸投げ」ではなく、パートナー選びが成否を分けます。
運用代行で得られる効果
専門会社に依頼することで得られる具体的な効果があります。
初速の速さ
自社運用では試行錯誤に3-6ヶ月かかるところ、外注では初月から戦略的な投稿が可能。アルゴリズムを理解した編集技術により、視聴維持率が平均1.5-2倍になるケースもあります。
継続的な改善サイクル
週次・月次での詳細な分析レポートにより、何が効果的かが明確に。蓄積されたデータから「この業界・職種では、この見せ方が効果的」というノウハウが活用できます。
トレンド対応力
TikTokのアルゴリズムは頻繁に変化します。専門会社は常に最新情報をキャッチアップしており、変化に素早く対応できます。
ただし、これらの効果は「良い外注先」を選んだ場合に限ります。
外注先選びのチェックポイント
運用代行会社を選ぶ際は、以下の点を必ず確認してください。
実績の確認
- 同業種での支援実績はあるか
- 具体的な成功事例(数値付き)を示せるか
- 実際のクライアント動画を見せてもらえるか
提案内容の具体性
- 自社の課題を理解した上での提案か
- 「バズらせます」のような曖昧な表現でなく、具体的なKPI設定があるか
- 競合分析を行っているか
コミュニケーション体制
- 担当者は誰で、どのくらいの頻度で連絡が取れるか
- レポートの内容と頻度は適切か
- 追加費用が発生する範囲は明確か
特に「採用」という目的に対して、単なる再生数ではなく「応募につながる指標」を重視しているかが重要です。
外注時の注意点と失敗例
外注したからといって、すべてを任せきりにすると失敗します。
失敗例1:社内の協力体制不足
外注先が撮影に来ても、現場社員が協力的でなく、良いコンテンツが作れない。結果、表面的な動画しかできず効果が出ません。
対策:経営層から現場への説明、協力することのメリット(採用成功→現場負担軽減)を共有しましょう。
失敗例2:フィードバックの遅れ
動画内容の確認・承認に1週間以上かかり、トレンドを逃す。TikTokは「旬」が重要なため、タイミングを逃すと効果が半減します。
対策:承認フローを事前に決め、2営業日以内に判断できる体制を作りましょう。
失敗例3:目的の不一致
「再生数」を追う外注先と、「採用」を目的とする企業側でゴールがずれ、バズっても応募につながりません。
対策:契約前に「最終ゴールは応募数・採用数」であることを明確にし、KPIに含めましょう。
外注は「丸投げ」ではなく「協業」という認識が成功の鍵です。
まとめ
TikTok採用における自社運用と外注の選択は、単純な費用比較だけでは判断できません。
自社運用が向いているケース
- 動画制作に興味がある人材がいて、月30時間以上のリソースを割ける
- 3-6ヶ月の試行錯誤期間を許容できる
- 失敗から学ぶ企業文化がある
外注が向いているケース
- 早期に成果を出したい
- 社内にSNSマーケティングの知見がない
- 他の採用手法との併用でリソースが限られている
多くの中小企業では、初期は外注で基盤を作り、ノウハウが溜まってから段階的に内製化するハイブリッド型が現実的です。
判断に迷う場合は、まず自社の現状(リソース、スキル、体制)を客観的に評価することから始めましょう。TikTok採用は、適切な方法で取り組めば、採用活動の選択肢を広げる有効な手段となります。
